行列と1次変換(旧課程数C)
本稿では行列問題の解説は止めようかと思っていたのですが、まだ来年まではセンター試験での対応が用意されており、2次試験でも「配慮する」という表現があって、多分選択問題が用意されます。前回の範囲変更では2年間の対応処置があったので、今回もその可能性に賭けて、補完問題の選出もひと段落したので、浪人生諸君のために解説を開始します。
●行列問題
高校数学の行列問題では、次の定理が最重要です。
●ケーリー・ハミルトンの定理(ハミルトン・ケーリーの定理)
行列問題で最多出題は2×2行列のn乗に関する問題ですが、その大半はこのケーリー・ハミルトンの定理で説明できます。まずは2乗して零行列になる行列の条件です。
●行列のn乗の計算方法
これには次のようにいくつかの方法があります。入試問題には大なり小なりこの計算が登場し、場合によっては組み合わせて用いられます。
(1) 何乗かすると単位行列になる行列を利用する。
[B]行列のn乗を計算する問題(2012年横浜市大/医14)
(2) ケーリー・ハミルトンの定理を利用する。
[C]行列の計算問題(2014年昭和大/医)
[B]行列の多項式の問題(2007年京大文系)
[C]5乗してEになる行列の行列式とトレースを求める問題(2013年東工大2)
(3) 漸化式を利用する。
[C]行列の積の極限の問題(2012年順天堂大/医14)
(4) 回転行列に帰着させる。
[B]行列のn乗の問題(2014年日大/医)
[C]n乗行列の部分和の問題(2014年横浜市大/医13)
[B]楕円の回転の問題(2006年旭川医大後期)
(5) 最初の数例を実際に計算してn乗を予想し,数学的帰納法を利用する。
(6) 行列の対角化を利用する。
(7) スペクトル分解を利用する。
[B]スペクトル分解による行列のn乗の問題(2014年日本医科大)
●行列の漸化式の問題
[例題]
[入試問題]
[D]行列漸化式を解く問題(2005年京大後期)
[B]行列漸化式を解く問題(2013年東大/理系)
[C]行列が定める漸化式の問題(2012年東京医科歯科大1)
[C]行列漸化式を解く問題(2014年北里大/医)
●行列と不等式の問題
[入試問題]
[C]行列成分の不等式の問題(2012年東大理系5)
[C]行列の対角成分の和の不等式の問題(2012年東大理系6)
●行列と整数の問題
[入試問題]
[B]行列と整数の融合問題(2007年東京医科歯科大)
●行列のその他の応用問題
[C]3次関数行列に対する上三角行列解の存在を示す問題(2013年慶応大/医3)
[C]行列の閉じた集合の個数の問題(2013年東京医科歯科大/医2)
●1次変換の問題
行列の応用問題では1次変換が最重要です。
[A]一次変換の問題(2013年順天堂大/医)
[A]一次変換の問題(2013年昭和大/医)
[B]一次変換の問題(2012年一橋大)
[C]直線を直線に移す一次変換の問題(2013年慈恵医大)
[C]一次変換と領域の問題(2008年東大理科)
[C]円を円に移す一次変換の問題(2013年横浜市大/医)
[C]確率で1次変換を選ぶ問題(2014年東工大)