数学入試の方程式問題の解き方(数Ⅰ・数Ⅱ)
方程式だけの問題の多くは小問の1つとして出題され、その多くは解と係数の関係、二項係数や高次の方程式と因数定理などを複雑に組み合わせた問題が多いと言えます。重要事項を再確認してください。ただし見ればわかるように、この関係は暗記の必要は全くありません。
●2次方程式の解の範囲と係数の関係の問題を素早く解くコツ:
私立3医大東海大/医・日大/医・昭和大/医の分野別難易度順解説書の著作を通して、2次方程式の解の範囲と係数の関係の問題の類題がそろったので、解法を次の3つに分類しました。これらを素早く判別することがスピードアップのコツです。
(1) 異なる2つの実数解 ⇒ 判別式が正
[A] 2次方程式が実数解を持つ条件の問題(2016年日大/医12)
(2) 負の実数解 ⇒ 判別式が非負かつ解の係数適用
[A] 2次方程式が負の実数解を持つ条件の問題(2014年日大/医11)
(3) 指定範囲に異なる2つの実数解 ⇒ 判別式が正、両端で正かつ軸が範囲内
[A] 2次方程式が指定範囲に異なる2つの実数解を持つ問題(2015年日大/医13)
[C]2次方程式の解の範囲の問題(2017年理科大/理/応用数学)
[E]2次方程式を決定する問題(2016年京大/理系)
[B]3次方程式の解と係数の関係(2013年芝浦工大)
●3次方程式の解と係数の関係
[A]3次方程式の解を利用する問題(2014年慶應大/理工)
[B]3次方程式の解から係数を求める問題(2011年上智大/経済経営)
[B]3次方程式の解の正負を調べる問題(2002年大阪大/理系)
[B]2つの3次方程式の実数解の問題(1991年京大/文系)
[C]3次方程式を決定する問題(2016年京大/文系)
●二項係数による方程式の係数の理解
●判別式で解く問題
[C]楕円上のx座標の最大値問題(2012年、東大文科)
この問題は2次曲線をわかっていないと、解き初めに躊躇するでしょう。最大値を求めるということは、この2次曲線は楕円か放物線しかあり得ません。しかしその判別法は判別式だけで十分なのです。
●n次方程式の解法
2次方程式には解の公式があり、3次・4次の方程式にも代数的な解法が存在して必ず解を得ることができますが、5次以上の方程式には代数的な解は存在しないことがわかっています。代数的な解とは、加減乗除や開平法によって得られる解のことです。しかしながら、n次の最高次の項しかない方程式は、因数分解によって解くことができます。右辺が1の場合の解の概要を下図に示します。右辺が1ではない定数の場合の解は、下に示す解の定数倍です。3次や5次の場合は、三角関数と複素数の「ド・モアブルの定理」を使って解くこともできます。
右辺が1の方程式は、2次の場合は因数分解で簡単に解け、4次の場合は2次の場合を拡張して解くことができます。3次や5次の場合はまずx=1が解であり、残る偶数個の解は2つずつ互いに共役複素数になります。そのため、三角関数と複素数の「ド・モアブルの定理」を使ってかならず解くことができますが、多項式のままで解くこともでき、これは「相反方程式」と呼ばれます。
●5次方程式の解法
●4次方程式の解法
[C]4次方程式を解く問題(2008年横浜市大/医)
[B]4次方程式の係数の値域の問題(2017年早大/商)
[C]4次方程式の複素数解の問題(2017年東工大)
[C]4次方程式の解と係数の関係(2002年京大文理共通)
[A]4次方程式の奇数次項を消去する問題(2010年横浜市大/医)
●(t+1/t)の問題と相反方程式
入試頻出問題であり、相加平均≧相乗平均からt>0の場合値域はt≧2となります。また(t+1/t)は「相反方程式」にも利用されるものです。
[入試問題]
[B](t+1/t)の応用問題(2008年早稲田大/商)
[B]x+1/xの応用問題(2014年自治医科大)
2001年青山学院大学/物理
3次以上の高次方程式を一般的に解くことは容易ではなく、次のいずれかの問題しか出題されません。
○何らかの要因により、容易に因数分解できるもの。
○複二次式(偶数次しか係数がなく、x2を置換して解くもの)
○相反方程式(係数が左右対称的なもの)
[入試問題]